朝鮮語

朝鮮語

はじめに
SFC新入生のみなさん、アンニョンハセヨ。

朝鮮語の秘密:一番学びやすい言語

「チリ」、「カムサ」、「ヤグ」は、それぞれ「地理」、「感謝」、「野球」のことです。朝鮮語の多くの漢字語が日本語と共通しているという事実は、日本語を母語とする私たちにとって心強い限りです。朝鮮語での発音も日本語の発音とかなり似ていると思いませんか。
世界には4000ほどの言語があると言われています。その中で朝鮮語ほど、日本語を母語とする私たちにとって学びやすい言語はありません。その理由としては、①日本語と語順が100%一致していること、②文法が日本語と瓜二つで逐語訳がそのまま日本語になること、③膨大な量の漢字語が日本語と共通していること、そして④文化の深層・基底部分が類似していること、といったことが考えられます。私たちがすでに日本語能力として持っている相当部分が、朝鮮語能力のかなりの部分として、そっくりそのまま利用できるのです。
ハングルの仕組みや発音の基礎を初めて学ぶ初級の段階では、短期間で非常に高いレベルの語学能力を習得できます。日本語の基礎がきちんと身についている人であったならば、朝鮮語が上達するスピードは極めて速いと言えます。他の言語では味わえない達成感を感じることが可能です。

朝鮮語教育のねらい

慶應義塾では古くから朝鮮語教育が実施されてきました。各地区の学部・大学院や外国語学校でも朝鮮語のメニューはありますが、SFCでは開設当初から単なる教養レベルを超えた、第一外国語として本格的に学べるハイ・クオリティーの教育サービスが提供されてきました。外国語学部ではないにもかかわらず、総合政策学部・環境情報学部において最先端の勉学・研究に取り組む学生のみなさんの知的好奇心を十分満足させていけるような充実した教育サービスが準備されています。その目標とするところは、語学それ自体としての朝鮮語の習得にとどまらず、朝鮮語を使って隣国・朝鮮半島の南北に対する総合的な知的理解を深めていくことにあります。朝鮮語を知っているか否かで、隣国に対する理解の度合いが決定的に左右されることは言うまでもありません。さまざまな情報が日々行き交う現在、その中にはニセモノも多く含まれているかもしれません。正しい情報を発見し、整理し、分析し、考察する--こうした一連の知的作業の遂行に朝鮮語の習得は不可欠です。さらに自分のメッセージを外に向けて発信するといった知的作業を朝鮮語で行う--ここまでのレベルの習得をわれわれ教員一同はSFC朝鮮語教育の目標として掲げています。

知的理解の方法としての朝鮮語

ところで韓国は、朝鮮戦争(1950~53年)の廃墟から国家の再建を成し遂げ、「漢江の奇跡」と呼ばれる急速な経済発展を遂げ、世界的な経済大国とまでになりました(2018年の名目GDP基準で世界193ケ国中、第10位)。みなさんはサムスン電子、LG電子、現代自動車といった韓国企業の名前を聞いたことがあるでしょう。スマートフォンやエレクトロニクス、さらには自動車といった分野で、総合力としてすでに日本と同等、あるいはそれ以上の水準に至ったのがこれらの財閥企業です。「韓流」に代表される大衆文化の面では、K-POP、テレビドラマ、ゲームなどの分野においてアジアのみならず欧米にまで至る世界的ブームを巻き起こしています。
このような韓国社会に対する知的理解を一層深めていくためにも、朝鮮語を習得することは不可欠です。朝鮮語を学ぶことで、朝鮮半島に関して扱われる情報量は飛躍的に増加し、皆さんの関心はもっと広がり、深くなっていきます。
SFCでは、朝鮮語分野として語学科目の延長として、現代韓国を理解するためにさまざまなカリキュラムを組んでいます。「韓国地域論」、「韓国社会論」、「現代文化探究(朝鮮語圏)」などの講義科目を通じて、韓国の政治、経済、社会、文化、歴史、さらには朝鮮半島情勢についての知的理解を深めていきます。さらにはこれら講義科目を発展させた形で複数の研究会が運営されています。

日本の文化と自身を省察することができる機会としての朝鮮語学習

言語は文化とまったく関係がないわけではありません。むしろ言語とともに発達し文化の性格を反映しています。文化の一部分であると言えます。そのため朝鮮語を学習する過程で、自然に朝鮮語の中に溶け込んでいる韓国の文化にも接し、理解できるようになります。したがって皆さんは朝鮮語を学びつつ少しずつ韓国の文化を理解できるようになり、さらには韓国と日本の文化比較を行える機会を持つことができるように成ります。
日本と韓国は、歴史的に長い間密接な関連を結びつつ絶えることのない交流を行ってきました。そのため韓国の文化は日本に似た部分がとても多くあり、また異なる部分もあります。皆さんが朝鮮語を学びつつ韓国の文化を理解し、韓国の文化と日本の文化を比較してみることは、日頃は当然だと考えていた日本文化の特性を新たに認識する機会になることでしょう。このような文化的な認識と思考は知性ある人間として、日本の文化と自らを省察できるよい機会となるであろうと思います。

科目ごとの授業内容

1. インテンシブ1・2 (春・秋学期)

朝鮮語を早くマスターしたい人にはインテンシブコースを勧めます。日本語を母語とする人にとって朝鮮語は大変上達が早く、学びやすい言語です。このためインテンシブ1からインテンシブ2まで1年間の授業だけでも熟達できます。インテンシブ1・2の授業では、日常生活の多様なシチュエーションで使える基礎的な語彙や文法、会話表現から学んでいきます。本授業を通し次の内容を取得することを目標としています。

  1. ハングルを使いこなす能力
  2. 発信のための基礎会話力
  3. 基本的文法項目の応用力

インテンシブ1ではミニスピーチを、インテンシブ2ではワークショップを行います。積極的な参加型授業が好きな皆さんのためのプログラムです。

2. インテンシブ3 (春学期)

このコースでは日本語・朝鮮語両言語の文法の類似性をフルにいかし、読む、書く、聞く、話すという4技能の深化を目指します。主に次の2つをトレーニングします。

  1. 語彙力:日本語・朝鮮語共通の漢字語彙を体系的に学習し、語彙力向上を図ります。
  2. リーディング:日本語・朝鮮語両言語は文法が瓜二つなので、文法を集中的にトレーニングにすれば生の文章が上手に読めるようになります。週に1コマ、新聞記事の講読を通じて韓国の社会・文化について一緒に論じ、考えます。

3. 海外研修 (春休み・夏休み)

朝鮮語プログラムでは「現地主義」を大切にする考えから、ソウルにおける海外研修を実施しています。海外研修には〈初級〉の海外研修と〈中級〉の海外研修があります。
〈初級〉の海外研修はインテンシブ2の修了後、春休みや夏休みを利用して3週間、ソウル大学言語教育院で語学研修を受けます。ソウル大学言語教育院ではSFCの学生用に特別プログラムが準備され、非常に中身の濃い学習が行われます。このプログラムの特色としては、以下の通りです。

  1. SFCの学生用に準備された専用プログラムである。
  2. SFCの学生3~4人に対して、1人のソウル大生のTAが加わり、一緒に行動しながら教室外での活動を含んだ各種体験学習を行う。
  3. テーマ中心のミニ・プロジェクトが並行して実施される。
  4. 伝統衣装、楽器、料理などを通して韓国文化を直接体験する。

この他にもDMZ(非武装地帯)や韓国企業見学など韓国社会について深く学ぶことができるプログラムが組まれています。
なお、〈中級〉の海外研修もソウル大学言語教育院で3週間実施され、より高いレベルの朝鮮語を勉強することができます。〈中級〉の海外研修を通じて専門的な内容の読解、ディスカッション等も行いながら上級の朝鮮語が使えるようになることを目指します。

韓服体験
韓国の伝統的な衣装である韓服を着て、歴史や文化に対する理解を深めました。

料理教室
韓国の伝統宮廷料理である「グジョルパン」と「トッポッキ」を作りました。とても美味しかったです。

4. ベーシック1(春・秋学期) ベーシック2(春・秋学期)

時間数の少ないコースのため、朝鮮語の基礎知識習得を目標としています。毎学期ベーシック1、ベーシック2ともに1クラスずつ、開講します(ただし、秋学期のベーシック1のみ2クラス開講)。ベーシック2の単位を取得した後、インテンシブ2を履修することができます。

5. スキル(会話、表現/作文)(春学期)
スキル(会話、読解、語彙/文法、聴読解)(秋学期)

会話や()読解、作文、文法を中心に、先端開拓科目など朝鮮語で行われる授業の理解を助ける目的で進められます。春学期には2コマ、秋学期には4コマが開講されます。インテンシブ2の履修を前提とする科目です。インテンシブ2の不合格者、ベーシック修了のみの学生は履修できません。

6. 資格試験

朝鮮語科目の履修にあたっては、前の学期の単位取得状況により、資格試験を受けなければならない場合があります。試験は筆記(単語・表現・文法)、口頭により実施し、1つ前のクラスまでの学習内容が身に付いているかを総合的に判断します。

資格試験の種類 内容
インテンシブ2 インテンシブ1の単位がない学生が、インテンシブ2の授業に入るために受ける試験
インテンシブ3 インテンシブ2の単位がない学生が、インテンシブ3の授業に入るために受ける試験
スキル インテンシブ2あるいはインテンシブ3の単位がない学生が、スキルの授業に入るために受ける試験

授業体系図

教員スタッフ

(1)SFCでの担当科目 (2)専門研究分野

柳町 功
Isao Yanagimachi
総合政策学部 教授
(1)インテンシブ3、スキル(読解)、コーポレートガバナンス、韓国社会論、研究会
(2)現代韓国論、東アジア経営史・財閥史(韓国・日本)
髙木 丈也
Takeya Takagi
総合政策学部 専任講師
(1)インテンシブ1、ベーシック1、ベーシック2、韓国地域論、研究会
(2)朝鮮語学、方言学、談話分析
高 在弼
Jaepil Ko
総合政策学部 訪問講師(招聘)
(1)インテンシブ1、インテンシブ2、インテンシブ3、ベーシック1、ベーシック2、スキル(会話)、現代文化探究(朝鮮語圏)
(2)朝鮮語学、朝鮮語統語論・語用論
中島 仁
Hitoshi Nakajima
総合政策学部 非常勤講師 東海大学国際教育センター 准教授
(1)インテンシブ3、ベーシック2
(2)朝鮮語学
金 恵珍
Hyejin Kim
総合政策学部 非常勤講師
(1)インテンシブ1、インテンシブ2、スキル(表現/作文)、スキル(会話)
(2)朝鮮語学、語彙論、対照言語学
金 新珏
Shingak Kim
総合政策学部 非常勤講師
(1)インテンシブ1、ベーシック1
(2)朝鮮語学、社会言語学、社会音声学
徐 旻延
Minjung Seo
総合政策学部 非常勤講師
(1)インテンシブ1、インテンシブ2、スキル(聴読解)
(2)社会言語学、朝鮮語学
柳川 陽介
Yousuke Yanagawa
総合政策学部 非常勤講師
(1)インテンシブ1、インテンシブ2、スキル(語彙/文法)
(2)朝鮮文学